生きものは死ぬときに自然に死ぬもんだ。それを人間だけが 家手塚治虫

医療 看護婦2人

生きものは死ぬときに自然に死ぬもんだ。それを人間だけが無理に生きさせようとする。どっちが正しいかね

これはマンガ家家手塚治虫の言葉。

これを読んで真っ先に彼の代表作「ブラックジャック」を連想する人も多いでしょう。

シンプルで一見突き放したように聞こえるこの言葉には、生命の尊厳を問い続けた手塚治虫の人生観がにじみ出ています。

今まさに延命治療の是非が問われている時代です。

患者に良かれと思って行う延命治療がかえって負担になり

さらには人間の尊厳を奪うことになりかねないといわれているのです。

寿命を延ばすために進歩してきた医学につきつけられた皮肉な問題点といえるでしょう。

また、この言葉は単に医学だけでなく、わたしたちの社会全体にもあてはまるように思えます。

わたしたち人間は進歩した結果、あまりにも「自然」から遠ざかってしまったように思えます。

その典型的なケースが「死」との距離。かつては当たり前にように溢れていた死が日常生活から見られなくなりました。

動物の死骸さえ、道端で見かける機会が少なくなっています。

この過剰な死へのアレルギーが自然な感性や生の感覚を鈍らせてしまっているのではないでしょうか。

人間は死ぬ時に死ぬ。そう思えば気が楽になるもの。

それが自分らしく生きる手助けにもなるのではないでしょうか。

延命治療の是非や生命の尊厳から離れてもなお、この名言は深く胸に響きます。

わたしたちはもっと自然に、生命や人生と向き合いながら生きていく必要があるのではないでしょうか。

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